薬のネット販売解禁を考える
公開日:
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最終更新日:2014/06/22
健康と病気
2014年6月12日に一般用医薬品(OTC薬)のネットでの販売が解禁となりました。
これまでもすでに一部のOTC薬のネット販売は解禁されていました。
が今回、より薬効が強い第1類と第2類医薬品の販売が解禁されましたので、実質ほぼすべてのOTC薬がネットで販売できるようになったわけです。
OTC薬ってそもそも何?
一般用医薬品をOTC薬と呼ぶのには意味があります。Over the counterの略、つまり、カウンター越しに薬剤師がきちんと説明しながら販売してくださいね、という意味でOTC薬と名付けられたものです。
医師が処方するのと同じような薬効を持つ薬を薬局で販売することで利用者への利便性を考慮しつつ、安全性の面からそのような名前を付けたわけですね。
そのOTC薬は次のように3種類に分類されて、今回の解禁では1類と2類がネット販売できるようになったというものですが、資格保有者による説明義務は対面販売と同じように義務づけられています。
ネットで薬を販売するために必要な条件は?
ネットで薬を販売するためには次の条件をクリアしている必要があります。
1、薬事法により、薬局または店舗販売業の許可を受けている実店舗を持つ薬局・薬店であること
2、実店舗は週30時間以上開店していること
3、実店舗は、購入者の見やすい場所に店舗名などの標識があること、購入者が容易に出入りできる構造であることなど、薬事法の基準を満たしていること
4、薬剤師または登録販売者が常時、配置されていること
5、インターネットで販売できる医薬品は、実店舗に貯蔵・陳列している医薬品であること
6、インターネットのほかに、対面や電話での相談体制を整備していること など
つまり、実際の店舗を保有している必要があり常時薬剤師か登録販売者がいる必要があるようです(一類を扱うなら薬剤師が必須)。また在庫保有をしていなくてはならず、相談体制も必要とのこと。
ネット業者が単独で進出するのはハードルが高そうですが、町の薬局がネット業者と組めば町の一薬局が日本全国を相手に商売をすることもできるわけで、それはそれで大きなチャンス到来とも言えそうです。逆に、そうしたネット販売が拡大していくことを考えると、今後薬局の生き残りは熾烈を極めていくだろうことも容易に想像できそうです。
ちなみに、薬のネット販売を行うにあたっての主なルールは以下のようなものです。
1、トップページに店舗の名称を表示する
2、実店舗の写真を掲載すること
3、現在勤務中の薬剤師・登録販売者の氏名などを掲載すること
4、許可証の内容(開設者名、所在地、所管自治体など)を掲載すること
5、営業時間外を含めた連絡先(電話番号、メールアドレスなど)を掲載すること
加えて、販売に際してのルールが定められています。
1、購入者が情報提供内容を理解した旨を確認すること
2、購入者に再質問がない旨を確認すること
3、妊娠中など薬の服用に注意が必要な場合を掲示・表示すること
4、乱用などのおそれのある医薬品(かぜ薬や咳止めなど)は販売個数を制限すること
5、使用期限を表示すること、使用期限切れの医薬品の販売は禁止
6、オークション形式での販売は禁止
7、購入者によるレビューやクチコミ、レコメンド(推薦)は禁止
まあ、やろうと思えばなんとでもできそうなルールですよね・・・。
利用者目線で考える
利用者の立場からはどうでしょうか?
実際の店舗でOTC薬を購入した時に、薬剤師による投薬の説明などが確かにありますが厳守しているという人は少ないのではないでしょうか?
ただ、店頭ですと薬剤師の説明は面倒に感じるようなことはないのですが、ネットになると、他の商材とどうしても比較してしまうところがありますので、薬剤師による投薬指導やメール送信によって同意をしてからの配送だったり、かなり面倒に思えるような手続きを踏まないといけないみたいですね。
それでも売れるでしょうけれど、今後こうした形だけの投薬指導義務を考えて行く必要があると思います。
腑に落ちないまま
カルテすら未だに病院間で情報共有できていない医療業界にしてはすばらしい進歩だと思いました。が、やはり形式的なというか意味のないガイドラインはセットになっていました。
本当は、通院のカルテや薬局での購入履歴などが一つのデータベースに保存され共有できるようになっていれば、こんな形式的で無意味なガイドラインは必要なくなります。
飲み合わせによるリスクの服薬指導はシステムで自動化できますし、個人情報がありますので異常購入などに関してのチェック機能が働いたりもします。
せっかくの解禁がこうした無意味なルールによって加速を失わないことを祈るばかりです。
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